Yutaka Kashiwagi Blog

無題

美容師になって30年目。

色々な経験をさせていただいて今に至り、

30代〜40代前半は、世に言う「美容師ブーム」の中で生き、

舞い上がった様な時流だったと言われる中で、

今でもその当時のバブルっぷりだけが語りつくされ、

「あの世代はいい時代だった・・・」とか言われる事もあるが、

クリエイティブでもサロンワークでも、一般女性誌でも業界紙でも、

言わせてもらえば、命が擦り減らすくらいの想いでやっていたよ。

 

その当時はポラを何枚も切らせる程、

力の無さを露呈する撮影現場だったのと比べれば、

デジカメやスマホが当たり前になり、

いくらでもやり直しや修正が効く今とでは、

その当時は緊張感もプレッシャーも半端ではなく、

それこそ昔のデザインだったので、

「いい感じで偶然な」ラフな質感も浮遊感もなく、

カメラマンさんでしか見えない繊細な部分を、

毎回厳しく的確に指摘される事も多く、

美容師、フォトグラファー、編集者、モデル・・・

毎週、毎月勝負だった事しか記憶にない。

 

間違いなくそれが今の自分を支え、

今でもこうやってやり続けられているサロンワーカーとなっていると思う。

 

そうやって戦い合っていたのだろう同じ歳のフォトグラファーが先日他界し、

複雑で、現実は全然受け入れられないけれど、

最後に久しぶりに撮ってもらったのが3年位前だったと思う、

今となってはそうそう言われないんだけど、

「柏木さん、右のこめかみに一本落ちている毛、

ちょっと気になるんですが、直してもらえますか。」

「どこの一本?」

自分でも気がつかなった事が悔しかったけれど、

昔と変わらないその言葉に思わずニヤニヤしていた自分がいたのを思い出す。

 

もう二度とそんな現場は一緒に出来ないし、

なんだか夢の中の様な時間の流れに戸惑うけれど、

自分が生かされている限り、しっかりと1日1日を噛み締めながら、

何かを後に伝えられる存在でありたいと思う。